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『あ…なんだろう、これ』
立ち去った青年の後に残った香りが、
ふわりと綾の鼻腔をくすぐった。
すると、綾の脳裏にある既知感が一瞬、
揺さぶられた。
『今、何か頭に浮かんできそうだったんだけど…気のせい?』
「綾ー! ここにいたんだ、授業終わったんでしょ? 早く帰ろ」
「あ…う、うん」
友人の声に綾が我に返った時にはもう、
どんな既知感を感じたのかさえ思い出せなくなってしまっていた。
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