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その言葉に男は立ち上がり監守に近づいていく。
看守は少しビクつきながらも動かない。
彼のプライドがそれを許さなかった。
「ふん・・・なんだ囚人の分際で脅かそうったってそうはいかんぞ。どうせお前のような殺人鬼はここで後悔しながら死んでいくんだよ!!」
それでも男は足を止めない。
ゆっくり。
ゆっくりと。
でも確実に一歩を踏み出す。
「く、来るな!!」
流石に男の狂気に曝されたのか監守は一歩下がった。
「ふん、腰抜けが・・・。つまらないつまらない。人間なんてつまらない。どいつもこいつも全力で生きない。まるで屍人だ」
男は呪いの言葉を吐き、また一歩、また一歩と監守に近づき、遂に鉄格子に到達した。
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