勇者は異世界で剣を持つ

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「分かって頂けましたか。それではこれから選定の剣の間に移動して頂きます。大臣さま方がいらっしゃいますが、堂々と剣の前までお進みくださいませ」 「分かった」 「それでは参りましょう」 メリルに続いて歩く。 昨日とは打って変わって、身なりの良い人たちとすれ違うことが多い。 ーーどうやら選定の剣は相当意味のあるものらしいな。 どこを歩いても人がいて品定めでもするかのような目で勇気を見ていた。 「お気になさらず。皆さまは勇者さまがどのような方かをご覧になっているだけです」 しばらくあるくと、大きなドアが目の前にあった。 「これから先が選定の剣の間でございます。緊張なさらずゆっくりと私に着いてきてください」 ドアがゆっくりと開く。 正面にはひと振りの剣が岩に刺さっていた。 西洋の剣らしく、所々錆び付いている。 「あれが今回の勇者か」 「どうにも頼りないな」 ーー今回だと? 今回ということは前回があったということ。 ーー前回の勇者はどうなったんだよ。 謎は深まるばかりだった。 メリルは剣の正面に立つと俺の方に振り返った。 「勇者さま。あちらの剣を抜き勇者としての素質をお示しくださいませ。メリルは信じております」 「・・・」 勇気は戸惑っていた。 抜けなかったらどうなるのだろうか。 「どうされましたか?」 「いや、何でもないよ」 勇気は剣の正面に立つ。
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