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「腹も膨れたしそろそろ街を歩こうぜ」
「歩こうって・・・ここは人間の街なのよ?さっきアレだけ騒いだんだから危ないに決まってるじゃないの!!」
「うっせーなボケ。さっさと行くぞ」
アリアスの手を掴んで入口のドアを開ける。
一瞬太陽の眩しさに目が眩んだ。
「ちょっと待ってって言ってるじゃな・・・い?」
アリアスが目を開けるとそこには瓦礫の山が広がっていた。
「何よこれ」
「何って、家?」
「家って・・・」
人間どころか生物の気配すらしない。
「一面焼け野原ね・・・。王様はやっぱり人間じゃないわね」
「うるさいから焼いた」
「滅茶苦茶ね」
「つか、王様はやめろ。俺は秋春だ」
「アキハル様?」
「秋春で良い」
「アキハルね・・・了解」
掴まれていた手を握り返して秋春を引っ張っていく。
「ここの人間は皆死んだの?」
「ああ」
「ふぅん」
心底どうでも良いという風に相槌をうつと石を蹴って遊び始めた。
「あ~あ、なんにも無くなっちゃった」
「見ろ、城は残しといた。あそこで暮らそうぜ」
指差す方に白を基調とした城がそびえ立っていた。
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