勇者の一日

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「へぇ、凄いね」 素直に感心する勇気に機嫌を良くしたのか彼女は勇気の顔を覗き込んだ。 「ふ~ん」 「・・・なに?」 背を反らせてミナから逃れようとするが追うようにミナが顔を近づける。 「そうやって女の子をたぶらかしてきたんだね」 「た、たぶらかすって・・・」 「ふふふ、冗談よ。いかにも女の子に慣れてないって感じね」 ミナは勇気から離れて一礼する。 「失礼しました勇者さま」 突然の彼女の変わり身に驚くも、彼女の後ろを見て納得してしまった。 「そこには怖い怖いメリルの姿がーー」 「ちょっとこちらへ来て頂けますか、ミナ?」 「勇気守ってね」 勇気は無言でメリルの方へ歩き出す。 「いくら勇気様の命令でもこればかりは聞けません。一度彼女には勇者様を敬う心を学んでいただかなければーー」 「命令なんてしないよ。僕はメリルにお願いするんだよ。僕を慕ってくれるのは嬉しいんだけど、実際僕は何もしてないんだよ。だから敬うんじゃなくて友達として一緒にいてくれると嬉しいな」 勇気の伸ばした手はメリルの頬に触れられた。 途端、メリルの顔が真っ赤になった。 「もお、知りません!!」 勇気とミナはお互いに首を傾げるのだった。
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