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アリアスは心底嫌そうな顔をした。
女の子のようなのだが前髪が長い為顔も見えず、また全身が痩せこけているため性別も分かりづらい。
「お前人間か?」
秋春が問いかけると表情の見えない顔を秋春に向けた。
しかし直ぐに土下座の体制になり震えだした。
「ああああ・・・・も、申し訳ございません!!お許し下さいお許し下さいお許しくださいーー」
狂気さえも感じさせるその態度に面食らうアリアス。
だが秋春は眉間にシワを寄せていた。
「おい」
秋春は奴隷らしき少女に近づくと見窄らしい服の襟を掴んで顔を覗き込む。
恐怖と無気力な瞳が顔を覆う髪の間から微かに見えた。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめーー」
またもや謝りだしたこの少女の言葉を遮るように秋春はその顔面を殴りつけた。
殴られた少女は壁に叩きつけられた。
そして倒れこむ。
「ちょ、ちょっと秋春何してんのよ。相手は人間だけどまだ子どもなのよ」
「うるせぇ。ムカつくんだよこいつ」
その言葉にピクッと少女の体が動く。
「私は・・・普通に・・・生きていたいだけなのに」
顔をあげ虚ろな目で秋春を見る。
「なんで私ばっかり・・・」
少女の頬に微かな涙が流れる。
それは頬の途中で止まってしまうほど少量で渇いた涙だった。
「お前が弱いからだ。抗わず考えず無駄に存在しているから何も変わらない変えられない。生きてすらいないお前が人間と同じ訳ないだろ」
「じゃあ・・・どうすれば変えられるんですか?」
「変えるんじゃねぇ奪うんだ。力は有限だからな奪って奪って自分のものにするんだ」
「誰から奪えば良いんですか?」
「俺からだよ」
その瞬間少女は獣のように秋春に飛びかかった。
歯を剥き出しにして伸びた爪を武器にして一心不乱に襲いかかる。
秋春は躱し、足で払い、踏みつけて、離す。
それを何度も繰り返した。
元から体力の限界だった少女は段々と動きが遅くなってきた。
動かなくなると秋春はすかさず少女を蹴りつける。
「起きろ奴隷。力が欲しくないのか?」
「うわぁぁぁぁああああああ!!!!」
繰り返される行動にアリアスは目を背けた。
何度繰り返しただろうか。
やがて少女は完全に動かなくなった。
息はあるようなので生きてはいるのだろう。
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