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「…貴女は…?」
いきなり現れた赤毛の女性。
彼女は右手にどう見ても重そうな武器、普通ではあり得ない程に刃の部分が大きい戟と思わしき武器を軽々と持っていた。
それも、血と思わしきものまでも着いている。
「…立って」
「…え?」
彼女から初めてかけられたこの言葉。
それはとてつもなく無表情で、中身がないかのような言葉。
だが、何故なのだろうか。
彼女の立っている姿がとても憧れる…。
「…立って」
あまりの出来事に俺はつい倒れている状態でボケッとしていた。
手を支えに、起き上がろう、そうした時、彼女の足元へと自然と目をやったのだが…
「……っ!?」
彼女の足元には上半身と下半身が別れて屍となった賊がいた。
表情は俺を殺そうとしてにやついている表情。
それも、全員。
腸が斬られた所から飛び出しており、そんな悲惨な光景を目にし、途端にこれまでに無い程苦しい吐き気に襲われる。
口に手を当て、必死に堪えるのだが、あまりの苦しみに涙までもが出てきた。
この苦しい状況の中、何故彼女はこうも平然と立っていられるのだろうか。
先程、武器についていた血を見て推測したところ、彼女が賊等を殺した。
だが、そうだとすると何故彼女は平然と立っていられるのだろうか。
…再び、彼女を見る。
彼女は今も俺の前に無表情で立っている。
途端、賊だと思わしき雄叫びが聞こえた。
「……ふぅ」
彼女は一息、溜め息を吐いた。
目付きがまるで汚物を見るかのような、冷ややかな目であった。
次の瞬間だ。
「…え?…いない…?」
一瞬、目を離して振り向いたら彼女はいなかった。
そして直ぐに彼女の居る場所が分かった。
賊の方を向くと、彼女は賊と戦っていた。
それも、一方的な。
彼女が戟を振るえば、賊は吹き飛ぶ。
屍が増えて吐き気が増す、そのような事はなく、ただ彼女の武器を振るう姿しか目に移らなかった。
「…何だろうか、この気持ちは…」
彼女の戦いに舞う姿が、異常なまでに美しく見え、そしてずっと見ていたかった。
胸が高鳴る。
かと言っても、異性に恋をするという気持ちとはまた違う。
彼女ではなく、『彼女の武芸』に俺は…惚れたのだろう。
この村に来て面白い者を見つけた。
私は、仕える人を見つけられずに、賊を倒してと、そんな毎日を送っていた。
だけど、この村に来て
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