凡人

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朝。 今日は月曜日。 学校だ。 母親の小言を聞きながら玄関を出ると、 「雨か」 外に出ると朝露が額に落ちてきた。 肩に、腕に、鼻に。 「おはやう!!」 唐突に大きい影が僕を覆う。 自分語りはこれにて終了。 「おはよう」 長髪にピアス、腰パン。ニコチンの匂い。 えっと、名前何だっけ。 滅茶苦茶メジャーな名前だった気がする。 佐藤でいいや。 「相変わらず暗いな、お前は。心なしか陰ってるよ」 実際陰ってるからな。どっかの誰かさんのせいで。 高校の入学式の日から話すようになったこの佐藤。 僕みたいなやつに話しかけるとは中々性格のできた男だ、と思ったら本当に性格のできた男だった。 将来は弁護士になるらしい。
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