正反対の二人

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「ここって、病院…だよな」 視線の先にある大きな建物。 おそらく、この町で一番でかい病院だろう。 よくテレビに映っているのを見た記憶がある。 兎にも角にも、今はここから動かない方がいいだろう。 追っ手はこの周辺を探しているはずだ。 塀に手をつきながら、更に奥に進んだ。 門からも病院の窓からも見えない死角。 おそらく誰にも見つからない。 そう思った瞬間、力の抜けた体が壁伝いに沈んだ。 「無茶し過ぎた」 ずっと走り通しだったのだ。 30分は逃げ続けていただろうか。 追いかけて来る奴らは人数を増やし、まったくもって卑怯だと思う。 といっても、因縁つけてきた奴らを伸してしまったのはコチラだ。 非がないとは言えないが、だからといってあの人数はないだろう。 「大人気ねェな」 疲れきった体を休めるように、ごろりとその場に寝転んだ。
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