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「今日は、どうしてほしい?」
意地の悪い笑みを浮かべ、私のリボンに手をかける秋。
私はその首に、腕を回す。
そして、彼の目を見つめながら。
私はいつも、決まってこう答える。
「抱いて…?緋呂先輩を、忘れられるくらい…激しく…」
秋の指が、口が、カラダが私を刺激する。
意識なんてぶっ飛んでしまいそうなくらい。
そんなとき、秋は私の耳元で、こう囁く。
「玲奈」って。
その甘い響きに、思わず、酔ってしまいそうになる。
行為を終えた後の秋は、いつも冷たい。
「じゃあな」とだけ言って、音楽室の鍵をといて、黙って帰っていく。
ふと、外を見ると。
いつの間にか、外は真っ暗で。
窓から差し込む月光が、私を照らし出していた。
帰りの電車に揺られて、ふと思い返す。
秋と初めて話したのも、あの音楽室で。
“初めて”も、秋だった。
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