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「……結構です。一人で立てますので」
僕は旭以外の人間にはほとんど敬語だ。
敬語は敬う言葉などではない。
相手と距離を取るための言葉だ。
「……敬語、いらないって」
「いえ、癖なので」
「でも、時谷には……」
「旭は別でしょう」
言いながら手を借りず立ち上がった。
パッパッと軽く払って、そのまま自分の席に戻る。
と、手を掴まれて足が止まる。
「……まだなにか」
「あっ、いや……えっと」
歯切れ悪く喋りながらも手は離してくれない。
「ねぇ、あれ……」
「えー、八神くんになんなの?」
そうやってモタモタしているうちに視線を集めてしまった。
…………全く難儀だ。
「あの、自分の人気とかわかってます?話しかけられると火の粉はこっちに来るのですが」
「あ、ごめんっ」
「分かって貰えたならいいです。じゃあ、」
「ま、待って!」
「……だから、なんですか?」
そろそろキレるぞ!?
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