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ああ…………。
何で僕がこんな目に……。
べっとりと髪についた生卵を
ハンカチで拭いながら、
僕、藤堂棗は小さく溜め息をついた。
「ちょっと!!!聞いてんの、
藤堂棗!!
平凡のくせにシカトとか生意気なんだけど!!!」
きゃんきゃん騒ぐ煩い小動物。
一人ではない。
彼らは一人で行動など出来ないのだから。
「……勘弁して下さいよもう」
表情を変えずボソッと呟くが、
自分たちの主張を喚くのに忙しい奴等には聞こえなかったようだ。
藤堂棗。高校1年。
僕を一言で表すなら平凡、
正確には中の上といったところか。
生まれてこの方、自分から進んで何かをした事がほとんどない。
よって、ほとんど面倒事とは無縁の生活をしてきたつもりだ。
そんな人畜無害な僕が何故、
こんなウザめな奴に絡まれ、
挙げ句の果てにさっき生卵をぶつけられたかと言うと、
時は1ヶ月前に遡る。
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