卵かけご飯は5日で飽きる

23/36
前へ
/73ページ
次へ
「待ってってばー!」 愉しそうな旭の声に若干不快な思いをしながら止まらずに歩く。 ご機嫌な旭はどんどん距離を縮めてきて、階段を登りはじめたところで追い付かれる。 「…………掴まえた」 すぐ背後に迫ったとき、ふっと囁くように言ってまた背中から腕を回し僕を抱きしめる。 今日は何か一段とスキンシップが激しいな。面倒だ。 「離れろ旭。階段でじゃれつくと危ない」 「俺が棗を落とすような真似するはずないじゃーん」 「事故は意図して起こるものじゃないだろう。離れろ」 「えー。あ、じゃあこうすればいいんだよね」 悪巧みを思いついたような旭の声がして、一瞬身体が離れた。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2112人が本棚に入れています
本棚に追加