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「待ってってばー!」
愉しそうな旭の声に若干不快な思いをしながら止まらずに歩く。
ご機嫌な旭はどんどん距離を縮めてきて、階段を登りはじめたところで追い付かれる。
「…………掴まえた」
すぐ背後に迫ったとき、ふっと囁くように言ってまた背中から腕を回し僕を抱きしめる。
今日は何か一段とスキンシップが激しいな。面倒だ。
「離れろ旭。階段でじゃれつくと危ない」
「俺が棗を落とすような真似するはずないじゃーん」
「事故は意図して起こるものじゃないだろう。離れろ」
「えー。あ、じゃあこうすればいいんだよね」
悪巧みを思いついたような旭の声がして、一瞬身体が離れた。
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