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渋々でも旭が離れたことでホッと息をついていると予鈴が鳴った。
5分後、本鈴が鳴るまでに戻らなければ遅刻だ。
「……もう行かないといけないのか」
「今日は転校生くるらしいからねー。遅れたら怒るんじゃーん?」
僕達は、朝来てから予鈴が鳴るまで、人気のない屋上で時間を潰すことが日課になっている。
理由は単純明快。
うるさい奴が居ないからだ。
朝は早く来ないと通学中に嫌でも奴等の目に入る。
わりと本気で旭のことを狙ってる奴もいる為、2人で歩いてるのを大勢に見られるということは、僕にとってマイナスにしかならない。
それなら朝一緒に来なければいい話だが、一度旭を置いていったとき酷い目にあったので懲りた。
よって早く来て人気のない処にいるのが一番安全なのだ。
「あー、教室行きたくないねー」
階段を下りているとき、旭のそんな声が聞こえてきた。
「…………」
「理由、聞かないのー?」
「聞いてほしいのか?」
「うーん。……ま、聞いてもらった方がいいかな?」
「なんだそれ」
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