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翌朝学校に行くと、やっぱり昨日の女の子、楓ちゃんが僕を待ち伏せしていた。
「藤森先輩っ!昨日はどうもすいませんでしたっ!」
深々と頭を下げる楓ちゃんに、僕は微笑んであげる。
「僕は気にしてないから大丈夫。
それより僕たちこの先どうするの?」
「…あのっ…」
「うん?」
「と…と…とりあえず…」
「うん」
「お…お…お友達からお願いしますっ!」
…お友達って…
中学生じゃあるまいし…
「…それだとキスとかしちゃダメなんでしょ?」
首を傾げて聞いた僕に、楓ちゃんはやっぱり顔を真っ赤にしてアワアワしてる。
「…そ…そ…そうですね!」
「…そっか…
それは残念…。
…なら僕が他の子と付き合ってもいいって事だよね?」
僕の意地悪な質問に今度は泣きそうな顔で僕を見上げる。
「…先輩が…そうしたいなら…
私は何も言えません…」
「そう…
じゃお友達からね」
ニコリと微笑んで言ったのに楓ちゃんは瞳を潤ませながら僕をじっと見つめる。
あまりに悲しそうな瞳に見つめられてなんだかいけない事をしてる気分になった。
「じゃあ楓ちゃん、またね」
クルリと背中を向けて歩き出した僕を、
その場から動く事なく見つめる楓ちゃんの視線を感じて何故か僕の胸が痛かった。
「相変わらず容赦なく切るなぁー…
もうちょっと優しくしてあげりゃいーのに」
手洗い場の壁に寄りかかってクスクス笑ってる拓斗に
「友達からなんて中学生じゃあるまいし…
それじゃ他のファンの子と変わらないでしょ」
「テニスコートの王子様は鬼畜だな」
「拓斗に言われたくはないけどね。
まぁどうせアイツが殴り込みに来るんじゃないの?」
「ハハハ!
じゃあ順平も呼んでおいてあげないと」
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