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唇を落とした僕の首に彼女の腕がゆっくりと巻きついて行くと、
やがて彼女の舌が僕の唇を割って侵入して来た。
…なかなかやるじゃんこの悪女。
そう思いながら絡まって来た舌を激しく吸い上げてやると、
彼女の熱い吐息が僕の唇をかすめて吐き出される。
少しづつ緩んで行く彼女の腕と熱くなって行く体。
その時、校舎の影から飛び出て来たちっこい影。
「藤森せんぱ……」
鞄を持って息を切らした楓ちゃんが、濃厚なキスを交わしてる僕と悪女をじっと見つめて機能停止。
可哀想かなとは思ったけど、楓ちゃんより今はこの悪女の方が面白い。
僕はチラっと楓ちゃんに視線を送り
舌を絡ませ合う彼女の腰に回した手を離し、楓ちゃんに向かってシッシと追い払う。
みるみる泣きそうな顔に変わった楓ちゃんが、顔を背けてぷるぷると拳を握りしめた後、踵を返して走り去って行った。
楓ちゃんの走り去る姿を見届けてから、僕はゆっくりと悪女から唇を離す。
「ふぅっ…さすが藤森くんね…
ますます好きになっちゃった…」
トロンとした瞳で言う悪女に、僕はニコリと微笑んだ。
「まだ終わりじゃないよ?」
…僕を本気にさせたらどうなるのか。
この悪女にはとことんまでおしおきしてあげる。
僕の唇に纏わりつくグロスをもう一度彼女の唇になすりつけた。
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