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球技大会が終わった翌日の昼休み、僕の教室に現れたのは祐弥だった。
「藤森先輩、ちょっといいっすっか?」
ドアにもたれかかりながら僕を呼ぶ祐弥に、拓斗が驚いてる。
「なんだあの生意気そうな1年は?」
眉間にしわを寄せてる拓斗の肩を僕はポンポンと叩いてから祐弥の前に向かって行った。
「どうしたの?」
「藤森先輩にちょっと付き合って欲しーんっすけど」
僕は頷いて、祐弥に続いて教室を出た。
祐弥に連れて来られたのは、体育館のステージ脇。
ドアを開けると楓ちゃんが振り返と同時にアワアワと慌てだした。
「ちょ…ちょっと…祐弥!
なんで藤森先輩まで呼んでるの…?」
「藤森先輩にも立ち会ってもらいたかったから」
「はぁぁっ?
いったい何なのよっ」
驚きながらも祐弥に言い返す楓ちゃんは僕と二人でいる時より
やけにハキハキと物を言ってる気がする…。
「先輩、すんません。
俺、どうしても先輩にも見てて欲しかったんっす」
祐弥の言いたい事は解っていた。
きっと僕の目の前で楓ちゃんにコクるつもりなんだろう。
なんてバカ正直で不器用な男なんだろうって思う。
だけど、僕はそんな祐弥ってヤツが結構気に入ったかも。
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