大切な人

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パタンと閉じられたドアをじっと見つめたまま涙を浮かべる楓ちゃんに僕はゆっくりと言葉を紡いだ。 「楓ちゃん…? 本当にこれでいいの?」 その言葉に僕を見上げた楓ちゃんに、本音を言えば僕も胸がズキズキと痛んでる。 だけど… 楓ちゃんの涙は… きっと祐弥を失う事に怯えてるんだと思う。 「君が本当にそばにいたいって思うのは祐弥? それとも僕? …決めるのは楓ちゃん、君自身だよ」 「藤森先輩っ…」 「ねぇ楓ちゃん… 本当に大切なのってさ… 普段はなかなか気づかないけど… いつだってすぐそばにいてくれる人なんじゃないのかな?」 …あぁぁ僕ってなんてお人よしなんだろう。 これじゃまるで祐弥を追いかけろって楓ちゃんの背中押しちゃってるじゃん。 僕だって楓ちゃんに恋してるくせに…。 そう思いながらも、天使の微笑みを楓ちゃんに向けてあげる。 「…私っ… 小学校1年の頃から… ずっと藤森先輩が好きでした…」 「うん…」 「小学校1年の時…雪乃ちゃんの家で藤森先輩に初めて会って… すごく優しくしてくれて…一緒に遊んでくれて… 本当に嬉しくって…」 「うん…」
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