幼馴染な彼女たち

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「相変わらず順平に冷たいな、太陽は」 クスクス笑うのは同じクラスで同じくテニス部の池端拓斗。 こいつは僕や雪乃と同じ人種。 告られた女の子は100%付き合ってる。 しかも同時進行で…。 さすがに僕は同時進行はしないけど… 付かず離れずの距離感を持ってくれる拓斗は、一緒にいても心地いい。 「仏様とか言われたし…」 「ハハハ!順平も必死だな。 クレオパトラさん紹介してあげたら?」 「…なんかやだ」 ふてくされながら鞄から教科書を出してる僕に拓斗が言った。 「太陽にとっての雫ちゃんは特別だもんな」 「意味解らないんだけど… アイツはただの天敵だし」 「だけどほっとけないんだろ?」 「…妹みたいなもんだからね」 フフッと笑った拓斗が僕のほっぺをきゅっとつねる。 「ほんっと太陽は捻くれてんな」 「拓斗、何が言いたいの?」 「いや、別に。 さて、俺も雪乃ちゃんと遊んで来ようかな」 ニヤリと笑って拓斗は教室から出て行った。 …別に雫が誰と付き合おうと僕には関係ないし。 って言うか、早く男作って欲しいくらいだし。 じゃないと年下のくせに僕の保護者みたいでウザいんだし。 窓の外を見てふーっとため息をつく僕の回りにいつの間にか女子が集まって来る。 「太陽くん、良かったらこれ食べて」 「私のも良かったら食べてね」 並べられたのは色とりどりのクロスに包まれたお弁当。 「みんないつもありがとう。 だけどこんなたくさん食べれないから… 気持ちだけでお腹いっぱいだよ」 やんわりと微笑んでお返しする。 …テニスコートの王子様も決して楽じゃないんだけどね。 僕の顔だけに惹かれて来る女の子の相手をするのは本当は少し虚しいと感じる事もあるけど… 僕にもいつか、うちの母さんみたいな人が現れるのかな? 極上の作り笑顔を浮かべながら目の前で行われているアピール合戦を眺めていた。
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