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「藤森先輩…あの…
先輩の事が好きです…」
「うん、ありがとう。
それで…?」
「はっ?
…えっと…その…
良かったらお付き合いして頂けないかなと思って…」
「うん、いいよ」
「えっ?!本当にいいんですか?」
「うん、じゃあキスしてもいい?」
「はぁぁっ…??」
朝の靴箱の前。
待ち伏せされた2年生の女の子を壁際に追い詰めてじっと見おろす僕は今日も天使の微笑みを浮かべる。
「こらぁぁぁっ!!!
太陽!!
アンタまたそんな事してっ!!」
「…げっ…出た…」
「ちょっとアナタ!
太陽は私のなんだからね!
何で勝手に告ってんのよっ!!」
鬼の形相の雫に驚いて口をパクパクさせてる2年生の女の子に僕はやんわりと微笑みながら
「なんか…そういう事みたいだからダメみたい。
ごめんね、でも嬉しかったよ、ありがとう」
そう言ってる途中で雫にその子から引き剥がされる。
「全く!
太陽もいい加減にしなさいよっ!
そんなんじゃいつまで経っても私の事なんて守れるようにならないでしょ!
って言うか、他の女の子に告られたらきちんと断りなさいっ!」
「えー」
「えーじゃないのっ!」
朝から仁王立ちの女王様に叱られる王子様…。
それを遠巻きで見物しながらクスクス笑う白雪姫…。
「アンタたち、いつまでそんな事やってるつもり?」
「いや、俺は面白れーからこの方がいいと思うけど」
ケラケラと笑いながら言う雪乃の隣で同じく腹を抱えて笑う拓斗に僕は苦笑い。
…雫は確かに可愛いし、誰にもあげたくはないけど…
僕はもっとたくさん恋をして学ばなきゃね。
雫みたいなじゃじゃ馬をうまく扱えるようになるには、もう少し修行が必要だって智也おじさんにも言われたし。
だからちょっとずつだけど、これでも僕は進歩してるつもりなんだけど…。
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