君と俺。

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この物語はルーツィア学院の姉妹校であるリッチモンド学院でのお話。 PM20:00。305号室。 学院から学生寮へと帰ってきた生徒達は、ルームメイトと共に一緒に過ごす。 ダルシー・ヴィンスは、ルームメイトと話をするわけでもなく過ごしていた。 何故なら、自分の外見のせいで避けられているのだ。学校に行けば、じろじろと見られる。視線が痛い。 髪は真っ白で、瞳は真紅。 病的なまでに身体全体が白い。人によっては、青白くにも見える。 “病的なまでに”という表現は正しくない。 実際、自分は病気である。 アルビノで髪も瞳も色素が薄くて、皆みたいに綺麗な金色の髪・翡翠,碧眼の瞳ではない。 瞳なんて昔から“血の色みたい”だと云われ続けてきた。他には“不吉の象徴”とも云われた事がある。 忌々しい自分の容姿。 改めて、手鏡に映る自分を見て、不快感が心を支配する。 うぅー‥ウザイなぁ もうヤダ… 髪をぐじゃぐじゃと掻き、声には出さないで心の中で呟く。自己嫌悪。 手鏡を放り出し、ベッドに寝転ぶ。 嗚呼…俺も金色の髪になりたかった。 そしたら、凄く綺麗なのに。 瞳の色も爛々と輝く真紅じゃなくて、透き通るような碧眼になりたかった。 今更叶わない事を望んだって、何も変わらない。儚き夢……。 だが、望んでしまう。 首飾りをぎゅっと握りしめ、目を閉じた。 *** 静かな部屋。 沈黙が辺りを支配する。 お風呂でも入ってこよう‥。 何かする事もないし、暇だ。 ‥…あの場に居るには、耐えられない。 逃げるように浴室へとダルシーは、姿を消した。 「ハァ‥…アイツヤベーな。今日も色気凄いッ」 部屋に一人残ったルームメイトは、そんな言葉を囁いた。 ダルシーが思っている事とは正反対の感情で、彼を意識していたのだ。 今日も自分の理性を保つのに必死だった。 ダルシーと会話などしたら、自分の想いが溢れ出して、どうなるか分からない。 だから、いつもこの部屋は沈黙が続く。 .
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