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「大丈夫、ダル君? 怖くないよ、俺が守ってあげるからー。」
自分が恐怖の元凶のくせに、ヘラヘラと笑い、俺に話しかけてくる。
震える膝を叩き、必死に冷静を装う。
「別に大丈夫だ!!さっさと自分の部屋に帰ってくれ!!」
「自分の部屋‥…? そんなのどうでもいい!!
ねぇ、今日は一緒に寝ようよ? いいだろう?」
全く俺の話を聞かず、自分の主張ばかりしてくるアメリア。
‥…話にならん。 阿呆だコイツ。
「自分の主張ばかりしてくる奴は、嫌いだ。 もう一度云う……さっさと自分の部屋に帰ってくれ。」
鋭くアメリアを睨みながら、云った。
それに怯んだのか、肩をビクッと震わせ、アメリアがスコット君の上から降りた。
もう‥このまま、何事もなく‥直ぐに帰ってくれ!!
神に心の中で祈りを捧げ、内心いまにも倒れそうな程俺は緊張している。
教会で祈りを捧げた方が、神は望みを聞いてくれるだろうか...
そんな事を考え、アメリアを睨み続けていると。
「‥…分かった、今日の所は帰ってあげる。 でも、次こそは一緒に寝ような♪」
誰もがその笑顔を見たら、‥…たぶん目を奪われるような美貌を称えた笑みで此方を見つめ、ダルシーの部屋から出て行った。
その時、
ダルシーの心は、
何故か、
アメリアの方に、
傾きかけていた。
アメリアは計算高く、ズル賢い。
心が病んで、普通ではないが。
“こうすれば”ダルシーは自分に振り向くのではないか。
ヤンデレと呼ばれるような動作でダルシーを追い詰め、だが最後はちゃんとダルシーの云う事を聞き、素直に自室に帰る。
恐怖を植え付けた存在なのに、最後は相手の云う事をあっさりと聞く。
で、極めつけは去り際のとびっきりの笑顔。
……。
完璧だ。
これで、ダルシーは堕ちる。
‥…ん? 表現が適切でない?
ダル君は“俺のモノになる”☆
わぁー 楽しみだなァ。 そんな日が早く来ると良いな…
この時から、ダルシー・ヴィンスの人生は歪に歪み始める。
アメリア・ベンジャミンによって―――。
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