心の闇

6/23
前へ
/32ページ
次へ
職員室に入ると、担任は何かの紙を眺めていた。 「あの…」 「おっ来たか、えっとだな実はちょっとした頼みごとあるんだけど」 「……はい」 頼みごとか…… なんてことを思いつつも、俺は担任の次の言葉を待つ。 「まぁ来週転校生来るのは知ってると思うが、実はその転校生に学校とかの案内をやってもらいたいんだよ」 「えぇっ」 職員室に俺の声が響く。 「いや笹原学生寮だろ、転校生も学生寮に入ることになってるからさ、ちょうどいいと思ったんだけど……出来ない?」 丁度いいって……… 「いや……えっと他に居ないんですか」 「まぁ居ないってことはないんだけど…」 何故か口ごもりちょっとけわしい顔になる担任。 「いや~、出来れば笹原にやってもらいたいんだよ、同年代だしさ」 「……すいません、やっぱりその人にお願いしてください」 ほんとにそういうのはめんどくさいし… 「そこをさ…」 「……いやでも」 「ほんとちゃっちゃとでいいから」 ……………… なんとなく、半強制にやる羽目になる雰囲気が漂い初めたのを感じた俺。 「ほんとすいません……俺そろそろ帰ります」 「えっ!?…おい」 俺は半ば無理やり話を終わらせると、担任から逃げるように職員室を出ることにした。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加