重なる笑顔

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朝は言わずとも知れずやって来る物だ。俺──黒谷雪弥は朝が苦手だ。低血圧ではないが、朝は軽く10時まで寝ていたい派の人間なのだ。 しかし、そんな願望も土日の何れか、長期休日のうちでしか叶えられない。何故かって言われると学校があるから。ただそれだけの簡単な理由である。 「クッ…!?この俺様が簡単に二度寝に入るとおもクカァ~」 俺は一度は学校に行くために起き出し、制服に身を包み込むモーションに入っていたが、制服を着ていく途中で立ったまま二度寝にふけっていた。 「クッ…!?この俺が時間ギリギリだと…?おのれ…二度寝め!二度寝は悪魔の罠だ!!」 「よっ、雪弥!」 一人でブツブツ言っていた俺に、笑顔で挨拶して来るのは、ご存知の通り田村くん。 「ん?キミだぁ~れぇ~?僕の知り合いに、共犯なのに説教受けない人とか、一人で帰る人は誰もいないよぉ~?」 「それ、遠回しに俺の事言ってるだろ?」 田村は呆れ口調で謝りを入れてきた。 「はぁ~…。昨日は一人で帰って悪かった」 「よし、お前も説教受けに行けや」 まぁ、断ったとしても秘密兵器があるがな…。 田村は俺が予想していた通りの反応だった。
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