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「うん。それに関しては快く拒否しよう」
ほらヤッパリ。
「そう言うと思ってだな、秘密兵器の反省文五枚を用意した」
「反省文?お前説教+反省文も貰ったのかよ!バカだな~」
ハハハ、と見るものを虜にしそうなイケメンスマイルで笑う田村。
その余裕も今粉々にしてやる。
「笑って居られるのも今の内だ!この反省文にはお前の悪事的画策全てを書き込んである。それも、五枚中四枚」
「お前…、反省文の意味無いじゃないか。けど、まぁ…無理だと思うぞ」
「やって見なくちゃ分からない。やる前から諦めたくは無いからな」
「うわっ、その身長、その童顔で何カッコイイ事言ってんだよ」
あ~…。ケンカ売ってるのか、コイツは?
「ケンカなら買うぞ…?」
田村は肩を竦め、からかう口調で言った。
「天下の黒谷様にケンカを売るわけ無いじゃないですか。あ~恐や恐や」
「まぁいい。全てはお前が説教を受ければ良いからな」
こうして俺たちは学舎の中に消えてった。
────
「畜生、何でだ?何で田村は俺の努力虚しく、説教を受けないんだ?」
今は昼休み、購買で買ったパンを頬張りながら一人屋上で愚痴を溢している。
何で愚痴を一人で溢す羽目になったのかというと、朝方にゴリラに反省文を提出しに行き、その場で目を通してもらったのだが、直ぐにやり直して提出しろと、返されてしまったからだ。しかも、反省文五枚の二倍──つまり十枚を〟また〝味わいながら次の日に提出と言われたのである。それで、今すぐに反省文を渡してくれれば良いものを、帰りに渡すと言われたのだ。面倒くさいことこの上ない。
「チッ、本来ならばこの愚痴を田村の奴に散々言ってやりたいけど、丁度委員会だって言うし…。全部独り言になってんじゃねーか」
と愚痴を溢している間に昼飯のパンが胃袋の中に消えていった。
俺の日課は、食ったらタバコを吸う。だが今日は何故か吸う気分になれず、そのまま屋上を後にした。
「宛も無く~、ブラブラ歩く、昼休み~」
パッと出てきた短歌を口ずさむ。まさしく短歌通りなので逆に笑える。
暫くブラブラしていると、音楽室という文字が目に止まった。そして何故か分からないが、まるで夢遊病患者みたいにフラフラと音楽室に吸い込まれていく。
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