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さて、時とは早いものでもう帰る時間になった。
俺はこの後、ゴリラの所に行き、やりたくもない反省文を貰いに行かなければならないワケだ。
田村はというと、今日も俺を置いて一人帰宅していた。
ヤッパリ友達辞めようかな…。
「失礼ーしまーす」
生徒指導室。ゴリラが住まいし場所。
チョットおふざけ気味に挨拶を済まし、ゴリラの元へと歩み寄る。
「ん?おぉ、来たか」
俺に気付いてゴリラが声を発する。ゴリラのいる机の上には既に明らかに昨日より量の多い反省文が上がっていた。
「反省文、貰いに来ましたよー」
「その事だがな、反省文ナシで良いぞ」
「どういう風の吹き回しだ?」おっといかん。口に出てしまった。しかし、ゴリラが反省文を出さないなんて…。何かあったのか?
「黒谷、お前昼に音楽室に居たろ?」
こりゃおったまげた。まさかゴリラにも見られていたのか。
「お前、ピアノの引けるんだな」
「まさかぁ~、そんなわけあるハズ無いじゃないですか~!」
「いや、確実にお前だ」
見られていたなんて…。
何か嫌だな…。
「いやいや、俺じゃな──」
「反省文ナシにしないぞ」
「はい、俺です。私です。僕です」
どう否定しても、反省文という単語を出されては認めることしか出来ない。
あぁ…。弱いな、俺…。
「ヤッパリか。昼休みのアレは凄かったな。良いものを見せてもらったついでにだ。反省文ナシにしたのは」
こんな事で反省文が無くなるなら、今度からゴリラの前で、ピアノの弾こうかな…。
「あ~ハイハイ。んじゃ、用事消えたんで俺はこれで」
「あ、まて黒谷。明後日容儀検査あるから、頭髪、服装の乱れは直して来いよ。検査に引っ掛かった場合──」
「分かってるよ。再検査、だろ?なるべく引っ掛からないようにしてやんよ」
容儀検査はイヤだ…。だって髪切られるから。髪を切られる事を極端に嫌う俺にとっては、地獄の日になるわけだ。
「そんじゃ、次こそしつれ──」
「まぁ待て、もうちょっと話していかないか?聞きたいことが山ほどある」
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