重なる笑顔

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必ず訪れる朝。オレ──黒谷雪弥は、悪態をつく。 目覚めは悪くない。だが何時も反対の事を言う。 「ケッ、目覚めの悪い朝だな」 欠伸をしながら、スエットに着替え外に出る。 行く先は、近くの公園。 公園まで辿り着くとポケットからライターとタバコを取り出した。 「チッ、いつか身長止まんぞオレ…」 そう呟いた。実際、俺の身長は160もない。その上タバコを吸うんだから、伸びなくて当たり前だ。でも、そう分かっていてもタバコは止められない。 タバコを吸い終わるのに三分もかからず、足早に家路につく。春休みも終わり、今日から学校がある。 家に帰ると、制服に身を包み荷物の支度をし家を出る。 「あ~…。何が悲しくて学生やっているんだ…。チクショウ、何で今時学ランなんだよ」 愚痴を言いながら支度を終えると、丁度良い時間帯になっている。オレはそのまま家を出た。 「うわっ、ベルト切れてきてんじゃねーかよ、このバカちん」 誰に言うでも無く一人呟く。 俺は学校に行くときの格好は何時もだらしない。学ランの中にはパーカーを来ていて、ボタンも上から二つ開けている。ベルトも学校指定のと別物を身に付けている。 まぁ、こんな格好は学校に行くとオレ一人だけじゃない。 そこでオレは、ハッと思い出した。 「春休みの宿題…やってねーし、忘れた…」 ── 宿題を忘れた事により、ちょっと学校に行く気が失せたが、もう近くまで来ていたので仕方なく行くことに決めた。 学校に着いて先ず目にしたものは、人、人、人。玄関に溢れんばかりの人だかりが出来ていたのである。 「クソッ、この俺様が通る道くらい開けやがれ!」 そしてまたもや悪態をつく。 玄関まで行き、人の群がりに揉みくちゃにされながらやっとの思いで脱出に成功したオレは、クラス票を目にした。
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