重なる笑顔

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まぁ、普通の奴ならこの条件で良いだろう。しかし、コイツは一味違う新種の人間だ。 「よし、わかった。それじゃあ購買のパンだけじゃ足りないかもしれないから、俺の弁当も少し分けてやる。あ、あとジュースもつけてやるよ」 とまぁ、こんな感じに提案した条件を更に特盛にしてくれるわけだ。 「うん、とりあえず分かったから。てかそんなに食えない」 「あ、そうか?な~に、遠慮すんなよ!ニシシ~」 とニカッと笑っている。 それにこれは遠慮ではなく、正直に無理だ。俺は少食なんだよ! 「それよりも、俺に用事あったんでないの?」 そうそう、それだよ。と田村は言った。 「お前、どちらの式にも出ないつもりだよな?」 「うん」 「頼む出てくれ。この通りだ」 と土下座をかます。 ここで友として察するものがある。 「そんなに畏まるなんてな。なんだ?あれか?また女か?」 「あぁ…。高校上がりたての新鮮で、まだ幼さ残る女体を観察したいんだ!」 はぁ…。やっぱりそう言うことか。だからコイツは脳内ピンク色の危ない奴になるんだ。 「悪いが俺は却下し」 「そう言うと思って、ほら」 俺の言葉を遮り、田村はポケットから鍵を取り出した。 「あぁん?何だよこの鍵は?」 田村に質問すると、田村は胸を張って答えた。 「これは放送室の鍵だ」 「うん、だから?」 「この鍵を使って、放送室に忍び込んで式が始まる時にお前の奇怪な伝説を更新しようっ!と、言うわけだ」 「うんうん成る程な~…。よーく分かったから、とりあえず鍵返してこいっ」 「いやいや、分かってないから!なぁ~頼むよ!今週一週間毎日昼飯奢るから!」 な、なに…? 昼飯一週間分毎日奢る、だと?何とも理想的な案だ…。 苦学生の俺からしたら、これ程おいしい事は無いだろう。 なので決まって答えは── 「フンッ、この雪弥様に任せとけ」 OKを出す。これが俺的には妥当だと自分で判断した結果だ。
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