重なる笑顔

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全校放送のスイッチを入れ、もう一回曲を流す。 まぁ、さっきと同じなんだけど…。 流したまま、放送室を後にする。後で田村が曲を止めに来るから鍵を開けたままで。 放送室を出たままの勢いで体育館に走っていく。 体育館に着くと直ぐに田村の席に目配せしたがもう田村は席には居なかった。 入れ違いか…。 そのまま田村の指示通りステージまで行こうとしたが、絶対にバレルって、これ……。 「はぁ…。ステージまで突っ切りますか。」 そのままステージまで突っ切り、ステージの上に上がり込んでマイクを手にすると、息を吸い込み思いっきりいった。 「よぅっ!新入生の諸君。こんなかったるい式に飽々してきたてめぇ等を俺が盛り上げてやる!」 そこまで言い終わったときに、流れていた曲が止まった。 「先ずはそうだなぁ…。先公どもの自己紹介っつうのをやってみようかと思う!つうわけで今から俺が紹介してやる!」 ここで新任の教師は何が何だか分からず頭に?マークを浮かべているが、一年のときから俺という人間を見てきた先生はもう呆れ模様だった。 「はいっ、先ずはこの学校の校長先生の紹介だよ~ん!御年60歳、だけどバリバリ体育会系!なのに頭はズラな残念な校長です!では一言どうぞっ!」 マイクを校長に向けてみる。 校長はニカッと笑って一言コメントをした。 「シバくぞっ☆」 「…はいっ、ありがとうございました~次は~……。」 と順々に新任の教師以外の先生の紹介をしていった。 「え~次は新任の先生を紹介したいんですが…、はい、名前が分かりませんね~なので…、あ、そこの先生っ!ちょっとステージまで来てください☆」 俺が指定した教師は「は、はいっ!」と裏返った声で返事をしながらステージまで上がってきた。 そこでタイミング良く田村が帰ってきた。丁度いい…。 「ここでスペシャルゲストですっ!我が学校が誇るイケメン王子の…田村広生君ですっっ!それではステージまでどうぞ!」 と田村の名前を出したとたん体育館全体が沸いた。 何故なら田村はさっき俺が言った通りイケメンで女子に人気があるからだ。毎日ラブレターを貰ってるし、それにちゃんと返事をする、律儀な奴だなのだ。 田村は動揺せず、逆に笑顔でステージに上がってくる。 「やぁ皆!さっき黒谷君からも紹介がありましたが改めて、田村広生です。今から新しい先生を紹介したいと思います!」
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