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初夏だというのに、紺のジャケットを羽織って黒い鞄を提げ、履き慣れない五センチの黒いパンプス。
どこからどう見ても暑苦しい。
しかし、これがリクルートの戦闘服だから仕方がない。
少しでも暑苦しく見えないように髪をアップに纏めて、清潔さをアピール。
今日も何社もの企業を回り、へとへとになりながら夕日を背に実家の前に立った。
郵便受けを確認するのが最近の日課。
採用通知が着ているかもしれない、という淡い期待を込めて蓋を開ける。
中には新聞と茶色いＡ４サイズの封筒。
「薄い……」
がっくりと肩を落として玄関を潜った。
「ただいま……」
一気に疲れが押し寄せ、リビングに行く気力も無く自室に向かって階段を上った。
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