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「「宣誓」」
女子中学生の高らかな声が学園に響きわたる。運動会の開始の合図だ。
通常時は入れない学園も運動会と文化祭だけは重き門を開け、一般人を歓迎する。
集はこの時の為にアルバイトを掛け持ちし、ビデオカメラを購入した。
妹である紅葉の勇姿をありのまま残すため…それとちょっとした下心を満たすためだ。
男なら誰でも女の子は好きだろ?
俺も例外ではない。合法的に女の子を堂々と撮ることの出来るチャンスを俺が逃すはずもない。
さぁ、行くぞ!俺の桃源郷、パラダイス!
集は小さな一歩だが、重要な一歩を踏み出した。
「あの~?」
「俺は無実だ!」
……くっ!
つい、やましい事を考えていたせいで、大声を出してしまった。
だ、だが、まだ振り返ってないから顔は見られていない。
このまま何事もなかったかのように逃げれ「どうかしたんですか?太郎さん」……。
「……僕はそんな何処にでも居そうで、居ない名前じゃありませんよ」
「あら、太郎じゃん。貴方も来たの?」
……里奈さん。ナイスタイミングだよ!このヤロー!
「うん? 太郎の後ろに居るのって、朱音?」
目の前に伏兵がいるなんて…うん?
朱音?って言ったか?
ま、まさかな。同じ名前だってこの世に何人か居るんだし…
集は内心ビビりながら振り返る。
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