運動会

3/9
前へ
/77ページ
次へ
ふぅ~。同名の人物だよね… 子供の頃の面影はあまり感じないし。 「太郎さんですよね。私は長谷川 朱音です」 はい、きたーーーー!! 同姓同名!!同じ地域で同い年。 信じたくはないが、これは、もう確定だな。 そして、朱音がいるとなると"あいつ"が確実に近くにいる… 俺が嫌な考えをしていると、朱音が問いかけてきた。 「覚えてませんか?一度お会いした事があるんですけど」 うーん、何処であったかな? 俺が頭を捻ってるのを見かねて、里奈が教えてくれた。 「ほら、哲が警察に追いかけられてる時の」 あ~結構、前に会ってたのかよ。 「思い出してくれましたか?」 「ごめん、すっかり忘れてたよ。竹刀も壊したのに…」 「人助けの為でしたから、私は全然気にしてませんよ」 昔から優しいのは変わってないみたいだ。 騙すのは心が痛むが、警察官の娘に正直に話すわけにもいかないしな。 「俺は田中 太郎。偽名ぽっいが、本名だからな」 笑いながら自己紹介をする。 「本名だったの!?」 ずっと偽名だと思っていた里奈が食い付いてきた。 「え~そんな…まぁ、仕方がないか」 俺は一度、話を区切り話題を変える。 「二人とも1人で来たの?」 「私は友達と待ち合わせ」 最初に答えたのは朱音だ。 おそらくだが、"あいつ"と待ち合わせであろう。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

351人が本棚に入れています
本棚に追加