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ふぅ~。同名の人物だよね…
子供の頃の面影はあまり感じないし。
「太郎さんですよね。私は長谷川 朱音です」
はい、きたーーーー!!
同姓同名!!同じ地域で同い年。
信じたくはないが、これは、もう確定だな。
そして、朱音がいるとなると"あいつ"が確実に近くにいる…
俺が嫌な考えをしていると、朱音が問いかけてきた。
「覚えてませんか?一度お会いした事があるんですけど」
うーん、何処であったかな?
俺が頭を捻ってるのを見かねて、里奈が教えてくれた。
「ほら、哲が警察に追いかけられてる時の」
あ~結構、前に会ってたのかよ。
「思い出してくれましたか?」
「ごめん、すっかり忘れてたよ。竹刀も壊したのに…」
「人助けの為でしたから、私は全然気にしてませんよ」
昔から優しいのは変わってないみたいだ。
騙すのは心が痛むが、警察官の娘に正直に話すわけにもいかないしな。
「俺は田中 太郎。偽名ぽっいが、本名だからな」
笑いながら自己紹介をする。
「本名だったの!?」
ずっと偽名だと思っていた里奈が食い付いてきた。
「え~そんな…まぁ、仕方がないか」
俺は一度、話を区切り話題を変える。
「二人とも1人で来たの?」
「私は友達と待ち合わせ」
最初に答えたのは朱音だ。
おそらくだが、"あいつ"と待ち合わせであろう。
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