11人が本棚に入れています
本棚に追加
彼と結婚するために、このまま、相手を見つけないでいようかと思ったこともある。
だけど、私は待てなかった。
彼が約束を10年も覚えているとは思えなかった。
じっと待って10年後、
「約束覚えてる?」ってたずねたとき
「なんかしたか?」と答えられるのが怖かった。
とぼけられるともっと怖い。
たまに会う友人関係をこのまま保ちたかった。
恋愛感情がなかったといえば うそになる。
けれども、あの時はまだ彼と男と女として付き合う踏ん切りがつかなかった。
あの約束が励みになったのか、私は順調に過ごしていった。
そう、本当に順調に。
好きな人を見つけ、恋をして、そして、結婚までした。
そう、結婚してしまったのだ。
私はあの約束をお守りのように思ってた。
今、すごく幸せだ。
あの約束があったからこそ、彼氏に振られた時も、
友人たちが次々と結婚していったときも
あせることもなく、
その後、結婚し、幸せになることができた。
約束を破ったわけではない。
そう、約束を破ったわけではないんだ。
時々、昔の写真を見て考える。
約束をしていなかったら、もしかしたら彼と幸せになれたかもしれない。
そう思うけど、でもそうしたら今の幸せはない。
ふっと、唇に笑みが浮かぶ。
そんなことを考える今が
一番
幸せだ。
最初のコメントを投稿しよう!