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……あの間を通って、ステージ前まで移動しろって事なんだよね?
かなり小柄なわたしから見たら、上級生はまるで大人のよう。
なんだかビクビクしてしまう。
「それでは新入生、入場してください!」
よく通る、多分生徒会長さんの声に、新入生の入場が始まった。
……と、同時に。
ジャーン!と頭上から大きな楽器の音が降ってきた。
それは初めて耳にするマーチ。
リズミカルなパーカッションに合わせ、軽快に流れるメロディー。
その音の発信源を確かめようと、頭上を見れば。
入口上の観覧席に、楽器を演奏している大勢の上級生。
思わず、口をあんぐり開けて、固まってしまった。
「ちょっと!夏南(かなん)、さっさと進みなさいよ!」
亜美の声にハッと我に返り、わたしは慌ててクラスの列に合流した。
新入生全員が、上級生の拍手と演奏に迎えられ、ステージ前に、クラスごと、静かに着席する。
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