とある夢の話

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 人型の光の塊が照らし出した自分の足元に目をやった友人は、「ヒッ!」と小さな悲鳴をあげて、少し後ずさりながら飛び上がった。  「なに、これ…よっくん!(←俺。仮名)下…これ…人の手足だよ!」  友人の声に足元を見やると、そこは辺り一面真っ黒な血の海で、そのぬめった血みどろの中には、人の手足やら頭やらの無惨な残骸が、足の踏み場も無く隙間なく敷き詰められていた。俺達は、知らず知らずその上を踏みつけにして歩いていたようであった。その残骸の中には、友人が、ヒデくん、ヨシキくんと呼んだ友人の頭も、ゴミ捨て場に捨てられたゴミのように、なんの畏敬の念も払われず無造作に転がっていた。  しかし、俺はなぜかそれらの全てを予め知っていて、怯える友人に向かって、またさっきみたいに、諭すように「そうだよ。」と呟いた。「知らなかったの?」とまでは口に出さなかったが、そういうようなニュアンスの言葉だった。
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