とある夢の話

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 「酷いことしてる、って思う?」  俺は恐怖で泣きじゃくる友人に問い掛けた。  「歴史をつくってきた先人達や、自分の先祖や友人、大切な家族の死体を、こんな風に踏みつけて歩くのは。酷いと思う?」  ぐしゃり、とまた一つ頭を踏みつける。  「でも、じゃあ、10年前の人達はどうだっただろう?30年前の人達は…100年前の人達は?」  ぐしゃり。  「生きてる内に、どれだけ死者を弔おうが、敬おうが、祈りを捧げようが…そんなものは、生きてる人間達自身の、単なる気休めでしかない。」  ぐしゃり。  「先に生きてた人達の、先に死んでしまった人達の、続きを歩くという事実は変わらない。」  ぐしゃり。
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