◇第1章◇ 新しい生活

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「試合開始は6時だからなー。遅れんなよ」 「分かってる。ちゃんと行く」 同棲を始めてから、初めてドームで哲也の試合を見る。 高校生の頃は毎回哲也の試合を見に行ってたけど、プロ野球は試合の数が半端ない。 それに、哲也が投げる試合はテレビで見てた方がじっくり見れるからあまり観戦には行かなかった。 毎日一緒にいるのに、未だにユニフォームを着ている哲也は遠い人。 あの人がもうすぐ私の旦那様になるなんて、と思ってしまう。 入籍も式もまだだからかな。 球団からの許しはもうもらってるけど、全ては日本シリーズが終わってから。 相原哲也が結婚となると、どれだけ日本中を騒がせる事になるか…。 球団が決めてくれた時期に発表するみたい。 その時は私も一緒に取材を受けてほしいって言われたんだけど、丁重にお断りをした。 こんな私が新聞に載ったらどれだけの相原ファンがガッカリするか…。 女優さんやモデルさんならまだしも、日本のエースの奥さんがただの一般人だなんて。 顔にもスタイルにも自信なんてないし、私のせいで哲也の価値が下がるのも嫌。 哲也も無理強いはしない、と私に言ってくれた。
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