◇第1章◇ 新しい生活

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哲也の影で、ひっそりと“妻”ができればいい。 平凡な毎日でいい。 ただずっと傍にいられればいい。 野球をしている哲也を全力で支える。 それがたぶん私の一生の夢。 哲也を見送って、玄関の鍵を閉めてからまたベランダに出た。 涼しい風。 洗剤のいい匂いと、二人の洗濯物にささやかな幸せを感じる。 今日の試合、勝てるといいな…。 優勝できるといいな。 私と哲也をずっと見てきた眩しい太陽。 そして、空の上にいる哲也のお父さん…。 どうかどうか、哲也を勝たせてください。 …♪♪♪♪♪~ 哲也のお父さんの事を考えると、何故か哲也のお母さんから連絡がくる……。 今までは“おばさん”て呼んでたけど、もう“お義母さん”って呼んでるよ。 今日は宮崎からはるばる東京に来てて、今、哲也のお姉さんの麗さんと、麗さんの二人の子供達とディズニーランドに行っている。 携帯を開いたら、お義母さんから写メールが届いていた。 ミッキーマウスと一緒に写る、巧(たくみ)君4歳と良樹(よしき)君2歳のかわいい笑顔。 いいなぁ~! 天気もいいし、やっぱり一緒に行けばよかったな。 でも、夕方の4時には東京駅に行かなければいけない。 うちの両親と待ち合わせ。 今日はみんなで野球観戦。 哲也をいっぱい応援するよ。
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