プロローグ

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しかし、私にはなぜかその女の子の顔が見えない。 木の枝が邪魔になっていたり、顔をのぞこうとすると女の子が自然な感じで顔を背けたりして。 やはり人間の夢には知らない人間は出てこないらしい。 私なんかよりよっぽどかわいいのだろうけど、私にとってみればその女の子が誰であろうと憎しみの対象でしかない。 そんなことを考えながら優子がいるであろう後ろの席を振り返ってみた。 「あれっ、優子は?」 誰に話しかけるわけでもないが、考えていることを口に出してしまうのは私の悪い癖だ。 この間の合コンのときは、あまりにもおしゃべりなデブにおしゃべりデブ野郎と思っていたことをそのまま口に出してしまった。 さすがにその後デブは黙り込んでしまったが、私もまた変な女扱いされて誰からも話しかけられないまま2時間が経ってしまった。 世間一般から言えば、かわいくないのかも知れないが、私自身は自分のことをまぁまぁかわいいと思っている。 まったく、こんないい女を放っておく気が知れない。 まぁでも、一人の時間の使い方には慣れているので、これといって苦痛はなかったが、また彼氏を作るチャンスを逃してしまったのは痛かった。 右から二番目にいた男は割とイケメンだったのにな。
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