プロローグ

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いや、そんなことより優子だ。 いつもなら私を起こして一緒にご飯を食べようと誘ってくるはずなのだが。 「まぁ、いっか。」 そう思い直し、自分の机で弁当を食べながら他のクラスメイトの話に聞き耳を立て自分の悪口を言ってないかチェックする。 これもまた私の悪い癖で、被害妄想とまではいかないが、自己防衛手段のひとつだ。 誰が自分を嫌いなのか知っていれば絶望しなくてすむし、関わらなければ私が不快な思いをすることもない。 それに、他人は自分のことを嫌いなのだと思いながら生活するのは、誰かに好かれていると思って生活するよりよっぽど気が楽なのだ。 その分、私も他人のことを嫌いながら生活している。 「寂しくないの?」と思う人もいるかもしれないが、私はそうやって生きてきた。 武以外の人間などみんな嫌いだ。 優子だってそうだ。 私のことを本当は嫌いなのに、腐れ縁というべきかなんというか、ずっと同じクラスで三年間過ごしてきたから私のそばにいるだけで決してお互いのことに干渉しようとはしない。 そういう仲なのだ、そう信じている。
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