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「あのさ、転校生…」 ずっと黙ってた澪が口を開いた。 「…ん?何だ!?あ、お前は瑞樹か?」 「洸、こいつらと…」 「うるさいな、雅哉。今俺はこいつらと話してるんだ!」 「洸…」 あーあ。一匹狼がショボーンってしてる。 もはや狼じゃなくて、ただの犬だね。 怒られた一匹狼は、転校生に言われた通り黙ったよ。 「で、何だ?瑞樹!!」 ……違うから。瑞樹は俺だから。 何で返事も聞かずに澪を瑞樹にしたの。 ほら、澪が呆れた顔して転校生を見てるよ。 「…僕は澪だよ。瑞樹はこっち」 「そっか!もう俺らは友達だ!!これからよろしくな!澪、瑞樹!!」 転校生が俺らに手を差し出してきた。 …いやいや、何でこの流れで友達になってるのさ。 転校生の頭の構造どうなってるの? 何なの、その謎理論。 …てか、昨日も断られてるのに、まだ勝手に友達にするって、転校生のメンタルどんだけ頑丈なの。 「…転校生。昨日も言ったけど、僕は君と友達になるつもりはないよ……瑞樹もね」 澪の言葉に頷く。 『初めまして、転校生。俺も君と友達になるつもりはありません』 謎理論の転校生でも伝わるように、はっきりお断りする。 「……何で…」 転校生が、下を向いて小さく呟く。 そんな転校生を一匹狼が不安そうに見つめている。 …一匹狼、いつからそんなキャラになったんだ? お前唯我独尊キャラだっただろ。 何その保護者みたいな感じ。 オカンか!?オカンキャラなのか!? 一緒に住んで母性目覚めたの? …あ、ちなみに説明しておくと、俺が15階に住んで学年首席の部屋を澪が使ってるから、1年の2人部屋は1部屋だけ1人で使ってたんだ。 それが一匹狼で、そこに転校生が入って来たから、一匹狼と転校生で2人部屋を使う事になったんだよ。 いいよね!転校生と一匹狼が同じ部屋とか王道だよね!! 一匹狼が、眼鏡外してソファーで寝ちゃった転校生の寝顔にドキッとして、我慢出来ずに襲ったりしたらいいんだ! 「…瑞樹」 『…はい。すみません』 澪が怖い!すごいこっち見てくる!!ごめんなさい!! .
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