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開会式が始まり、副会長により簡単なルールの確認がされた後、俺らが今手に持っているカチューシャについての説明をし始めた。
「皆さんが今手にしているカチューシャですが、これが事前のルール説明の時に伝えられていた鬼側と逃げる側を見分ける為の物です。鬼ごっこ中は外さず着けていて下さい」
俺…猫耳とか絶対似合わないと思うんだけど、ずっと着けておかなきゃいけないのか…。
「それと、我々生徒会はこのカチューシャを着けずに鬼ごっこに参加します。我々は鬼側と逃げる側の両方を兼ねていて、逃げる側の生徒とチェックポイントに行った場合には鬼側として判断され、鬼側の生徒とチェックポイントに行った場合には逃げる側として判断されます」
両方を兼ねてるって珍しいね。
「また、鬼側は捕まえる人数に制限はありませんが、逃げる側は一度チェックポイントまで連れて行かれたら、その後は体育館へ戻って時間まで待機となります。我々を捕まえたい鬼側の皆さんは頑張って下さいね。我々に捕まりたい逃げる側の皆さんは、いくらでも捕まえて差し上げますから我々の元へいらして下さいね」
副会長がいつもの作り笑いでそう言うと、黄色い悲鳴があがった。
うわー…絶対生徒会の周りにチワワちゃん達が集まるよー。
「それでは、これにてルール説明を終わります。この後鬼ごっこが始まりますが、まず逃げる側の皆さんがスタートして、10分後に鬼側がスタートします。我々生徒会はさらにその10分後にスタートします」
皆がカチューシャを頭に着け始めたから、俺も澪も頭にカチューシャを着ける。
……俺の猫耳、絶対似合ってないよね。
だって、隣にいる澪が顔を反らしてぷるぷる震えてるもん。
似合わなすぎて笑うのを堪えてるんだろうなぁ。
「では……鬼ごっこ、スタートです!」
副会長の掛け声と同時に、逃げる側の生徒達が走り出した。
あ、俺も行かなきゃ。
『じゃあ、俺行くね!』
俺は澪に手を振ってから体育館を後にした。
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