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「ただ…僕よりシノの方が可愛いのにって思って…」
澪が呆れた顔のまま言った。
『…えっ?俺可愛いの?どこが?』
俺、どこか可愛いとこある?
「…シノ、わかってないの?」
『うん。ごめん…わかんない』
ほんと全然わかんないんだけど、みんなわかる?
「…シノって自分の見た目の事、どう思ってるの?」
…何でそんな事を聞くんだろ?
『俺の見た目って……普通じゃない?』
「………」
…え、何で黙るの?
「…今までずっと自分の見た目が普通だと思ってたの?」
『え?うん…』
だって普通じゃない?
『あ!別に、自分の見た目が悪いとは思ってないよ?』
一応そこは自覚してるよ!
俺、無自覚キャラじゃないから!!
昔、弟にすごく熱弁されて、少しは顔が良いらしいって事はわかる。
『でも、この学園にはいっぱいイケメンとか美人とか可愛い子達がいるでしょ?その中でいったら俺は普通な方じゃない?』
「…あー……そういう事か…」
澪が何か納得したような顔をした。
『俺が無自覚キャラじゃないってわかってくれた?』
「うん。シノが何もわかってないって事がわかったよ」
『えっ!?』
何でそんな哀れんだ顔で見てくるの!?
残念な物を見るような目で見ないで!
『俺、一応自覚はしてるって!自分の見た目が悪くはないって事は!』
「悪くはないって程度の認識って事が、既に無自覚なんだけどね?」
『えっ!?俺ほんとは見た目悪いのに、悪くないって勘違いしてた!?勘違いしてる痛い奴だった!?』
「いや、何でそっちにいくの。僕、シノの方が可愛いって言ったじゃん」
『…ブサ可愛い的な意味で?』
「違うから」
違うんだ。よかったぁ…。
勘違いしてる痛い奴だったらどうしようかと思った。
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