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「その扉は、中からは開けられない……」
声の主が近付いて来る。
暗闇から現れたのは、モジャモジャ毛が生えたお化け、いや……ホームレス風の男だった。
男が口を開く。
「お前はこの家の人間ではないようだな?」
私は無言で頷き、相手の男は話を続けた。
「俺もお前と同じ泥棒だ……。ここから出るには、次に誰かが入ってくるのを待つしかない」
何という事だ。
こんな事になるならば、扉は開けっ放しにして入ってくるべきだった。
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