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拓海は、涙をこらえて苦しそうな表情をしていた
「落ち着いた…かな」
拓海は、小刻みに震えながら
頷いた。
不自然に拓海は制服のポケットに手を入れた、
取り出して、見せたのは。
儚く大きな手のひらにはなにもなかった。
「え…」
拓海は俯いたまま、手のひらを強く握った。
「この中に。桜の種があったんだ。毎日…持っていた。だけど無いんだ。」
震えるのは、声と体。
拓海にとっては
お兄ちゃんの形見なようなものだ。お兄ちゃんの彼女さんに頼まれた。桜の約束。
「俺は…俺は兄貴の…約束を守れなかった…」
拓海の額には、涙が
光っていた。
「大丈夫、きっと守れるよ。」
拓海はゴシゴシと涙を拭いた
「なんでだよ…。なんでそんなこといえんだよ!」
拓海は怒鳴った。
もちろんわたしも
何も考えていない。
けど…泣く姿に
じっとしてはいられなかった
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