Security:榎本side

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「そうですね、分かりました」 僕は三穴のコンセントを外すと、それを彼女に手渡した。 「これでもう盗聴の心配はありません。あとは部屋の鍵をチェックして、セキュリティ対策を万全にすれば、簡単に侵入されることはないでしょう」 「そうですか。…良かった。私ひとりじゃ、どうしていいのか全然分からなくて…」 ずっと不安げだった彼女の顔に、少しだけ安堵の色が戻った。 その様子を見ていた青砥も笑みを浮かべ、親友の肩をポンと叩いた。 「良かったね、紗英。榎本さんに任せておけば、絶対に大丈夫だから。あっ、そういえば榎本さん」 「はい、何ですか?」 「紗英にちゃんと自己紹介しました?」 青砥に言われ、我に返る。 防犯の事となると、僕はどうも周りが見えなくなってしまうらしい。 持参していた会社のジャンパーから名刺を取り出すと、青砥の親友である彼女に渡した。 「自己紹介が遅れてすみません。東京総合セキュリティの榎本径です」 「あ…、一ノ瀬紗英です。よろしくお願いします」 彼女が深々と頭を下げたので、僕も同じように深々と頭を下げた。 それを見ていた青砥が、口許を抑えて笑っていたのを、僕は見逃さなかった。
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