北条氏綱公御書置(五箇条の御書置)

4/8

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
一国を治める大将にとって、誰が善人だとか悪人だとかいったことは関係ない。 どんなに愚かな人間でも罪を犯さない限りは、罰を加えてはいけない。 もし侍が、私は大将に見限られてしまったのだなどと思ってしまうと、勇気が湧かず、本当の無能者になってしまい役に立たなくなってしまう。 大将はどんな人物も面倒を見ようと思っていると、人々に広く知れ渡るようになるべきだ。 人々が役に立つも立たざるも、すべて大将の志し次第である。 古代でも賢者と言うのはとてもまれな存在であったのに、荒れてしまった今の世となってはもはや賢者と呼べるものはいないだろう。 大将の中で、欠点のない人間なんていないのだから、間違いを犯すことはあるものだ。 たとえば、催し物のときに太夫(踊り子)に笛を吹かせて、鼓打ち(鼓の演奏者)に舞を舞わせると、とても見ていられないものになる。太夫に舞わせ、笛や鼓はそれぞれの演奏者に申し付ければ、同じ人々でも一番うまくいくはずのだ。 大将が侍たちを用いるときは、このようにあるべきなのだ。 ただし罪人や、俸禄や身分が低い者たちについては少し考えるべきだ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加