Day After Tomorrow

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「…彰、風邪引くよ。」 コートを、広げて肩に掛けながら、声を掛けた。 「悪いな…。」 煙草を燻らせながら、千秋の肩をそっと、抱き寄せる。 「…寒みぃから、くっついとけ。」 「うん。」 「…冬の空は、星が、綺麗だから、好きだなぁ。」 「そういえば…ずっと前に、国枝のお屋敷の庭で、二人で、星、見上げてたこと、あったね。」 「…ああ、まだ、祖父さんが、生きてた頃だな。 なんか、すっげえ、昔みたいだな…。」 「いろんなこと、ありすぎたから…。」 「ちょっと、立ち止まって、足踏みしてみるか?」 「えっ?」 「俺達は、歩みを止める訳には、いかない。けどさ、いろいろ、考えなくちゃいけない時も、あるだろ? …だから、足踏み。」 「なるほど!」 「匠と香織さんの仲も、いい感じに、落ち着いてるしな、他人の事ばっかり考えるのは、ちょっと、休み。 今度は、俺達のこと、考えよう。 なあ…そろそろ、もう一人くらい、子供欲しくないか?…俺は、欲しいな。 もちろん、無理強いは、しないよ。」 「彰…子供、もっと欲しかったんだ…。」 「まあな…。」 「じゃあ、今すぐ、夢叶えて、あげようか?」 「えっ?…それ、どういう意味だ? まさか…そうなのか?」 「…今ね、4ヶ月だって。私から、あなたへのX'masプレゼント。 すごいな、あたし…。 彰の一番、欲しいもの、あげられるなんて。」 「じゃあ、こんな冷える所、ダメだろう!中、入るぞ、千秋!」 「大丈夫だよ。暖かくしてるから…。 もうちょっとだけ、二人っきりで、いたい…。 だって…X'masは、私達にとって、特別だもの…。」 千秋は、背伸びをして、速水の唇に、自分の唇を重ねると、やさしく笑った。
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