はぅあのある日常case1

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その日、僕が電車に乗り…空いていた席に座ると、隣りに少し背の小さい女子高生がいた。   普段ならあんまりこんな事は気にしない。女子高生なんかいくらでもいるのだから。   でも…彼女は普通の人とは明らかに違っていた。   「ぽりーん……られたぁ…」   何か一人でぶつぶつと呟いているのだ。 これはひょっとしたら異常者か?   「ゆんゆんゆん……いや、もっと…ゆんゆんゆんゆん…はぅあ✨」   しばらく事の成り行きを見ていると、その女子高生が割と整った顔立ちをして居るという事。 そして、独り言の内容はともかく…声が可愛かったのだ。   「ん~?さっきから何で私を見てるの?ゆんゆん…」   気付かれた!?   「まぁ…いーやぁ……あんま見ないでゆ?恥ずかしいから~」   正面から一度、その顔を見る機会が有ったともいえる。   何というか…朝から良い物を見た。   スタイルも良い。   「君は──「あ、着いたゆ…寒い寒いけど行かなきゃなぁ……」   僕の声はその女子高生に遮られてしまった。 少し胸が痛む…。   「あ」   女子高生が立上がり、開いたドアから出ようとしたが…何故か元居た席に戻って来た。   「おすそわけ、あげゆ✨」   そう言って取り出したのは飴玉の袋。   「…ありがとう」   僕が中から一つ取り出したのを確認すると、その女子高生はドアが閉じる前に急いで走り去ってしまった。   「……不思議な娘だったな…」   僕は彼女から頂いた飴玉を掌に置いて眺めて見る。   藍色の球体が、窓から入る光で淡く輝いていた。   END
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