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「プチファイア!」
黄昏時の森の中で掌に力を込めて、そう叫ぶ少年が居た。(実際は何も起きてはいないが……)
彼の名前は“ゾルア”
聖キリスト魔法学院中等部に通う学生で、云わば中学生だ。
カルラは西洋人だが、黒髪に黒い瞳の穏やかな風貌まるではディスピアのはるか極東に位置する農耕民族の国“ジパング”という国の国民の様だ。
「来い!プチファイア!」
ゾルアが強く念じた上でそう叫んでも力の込められた掌の上には何の変化もない。
“プチファイア”
小さな火花を掌から出す魔法だ。それは火系統魔法の中でも最も弱く、勿論の事最も使用の簡単な魔法だ。
大概の生徒はは初等部に入ったばかりでこの魔法を修得出来るはずだが、才能の無い生徒は彼等よりも遅く修得する事が多い。
「プチファイア!………ダメだ…発動しない……」
しかしこのように中等部の上級生になってもプチファイアクラスの魔法を使えない生徒は前例が無かった。
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